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アラサー文系会社員の逆襲

出版業界は本当にもう「終わっている」のか?

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仕事帰りの電車の中でスマホでこの記事が目に入って、すぐ読んでしまった。

 

「出版業界はもう終わっている」

これは出版業に隣接する場所で働く人間にはこう見ているという話だ。出版業は苦境に立たされている、新しい売り方を模索せねば、という声が聞こえてくるが、いや、苦境どころじゃなくてもう終わっているよなーと素直に思う。

https://anond.hatelabo.jp/20180320080601

 

 僕らが就職活動をしている7年前から、出版業界は終わるとすでに言われ始めていた。

 

出版社がいかに疲弊して新刊を場当たり的に発行せざるを得ない状況になっているのか、出版業界の周辺にいる人間ならもはや当たり前の事実となっている。

 

では本を販売する最前線である書店の状況はどうかというと、こちらも同様に疲弊している。

 

 書店は本当に利益が出ない業態の中の一つである。書店の廃業や人員削減は当たり前でスタッフはアルバイトがほとんどで本の知識が少ない人も珍しくない。

本屋のスタッフは自らのお勧め本を選書して棚を作ったり、販売企画を立て、お客に提案するというイメージがあるかもしれないが、もはや自分たちで本を選ぶことさえ困難な状態なのだ。

 

 じゃあ書店に入荷する新刊がどのように決定されるかというと、書店からの申し込みももちろんあるが、大手取次が決定するの新刊配本が占める割合が大きい。

そして取次の配本は主に書店の販売実績に基づき決定される。

 

 書店の現場でよくやっているブックフェアや売りのばし本についての会議にはだいたい出版社と取次、または書店と出版社の販売条件やインセンティブが関わってくる。例えばこの書籍を購入いただいたらポイントが2倍になりますよ、とか。

 

大掛かりな企画になればなるほど各MD担当がどの書店で何が売れているのか、日々蓄積される膨大な販売データと顧客の購買情報とにらめっこをしている。

そこに売ろうとしている本の魅力や社会的意義が介在することは本当に稀。

 

出版業界は今、本そのものの魅力を置き去りにして回っている。

 

これは無理のない話だとも思う。

 

出版業界の縮小は何年連続で続いているのか忘れてしまうほど当たり前のようになっているし、書店、版元、取次の離職者もこのところ本当に増えている。

特に30歳前後の社員が辞めたという知らせを聞いても「あぁそうか」くらいにしか思わないほど日常となった。

 

どの現場も人手不足で本当に忙しい。そもそも儲かっていないのだから人員が補充されない。仕事が捌けないから、疲弊してどんどん場当たり的なことしか出来なくなる。

 

①本の魅力が相対的に落ちる。(他のコンテンツと比較して)

②業界の縮小(給与、人員の削減)

③現場の疲弊(仕事に忙殺)

④本の魅力がないがしろにされてしまう→①にもどる。

 

こんな感じで負のサイクルがガンガン回ってしまっている状況でもう同じことしてても希望はないよね、というのが実感としてある。

 

こんなキツイ状況の中で一石を投じるとしたら、もう本の魅力を知っている人が勝手に動きだすしかないと思っている。

 

実際、個人店のブックショップや古書店には個性的で面白い書店が増えてきていたりもする。出版業界の苦境を一気に跳ね返すような動きではないけど、本当にこれしか社会に本の魅力を提示できないんじゃないか。

 

みんな子供のときに遊びを始める時「この指とまれ」でこれからする遊びへの参加者を募ったことがあるはずだ。

今の出版業界は「この指とまれ」と言っている張本人がその遊びを楽しそうにやっていないし、その面白さを理解していないように思う。

 

本なんてなくても生きていけるし、わざわざお金を払う必要がないという意見ももっともだし、安くて面白いコンテンツはweb上に無限にある。

ただ、本はそれ以外の価値があるはずだとシンプルに思ったりもする。

 

出版業界が終わっているという言葉にははっきり言って食傷気味なので、いい加減新しい言葉を語りたい。どんな希望的観測に支えられたものでもいいから。