今、この時代に出版業界に就職したい学生に知っておいて欲しいこと
今年もリクルートスーツの就活生を街で見かけるようになった。
長引く出版不況がどれほど周知の事実だとしても、出版業界を志望する学生はいるはず。講談社、小学館、集英社は今年も就職人気企業ランキングの上位にはいってくるだろう。
出版業界で仕事をするようになって7年たったが、学生と業界のミスマッチを何度も目にしている。
これではみんな不幸になるだけなので、少しでも出版業界に就職したい、特に出版社、取次、書店に就職したい学生にむけて、学生に知っておいて欲しいことをまとめてみた。
- 1.出版不況はやっぱり厳しい。
- 2.全体的に業界の給与水準は低め。(一部大手を除いて)
- 3.自分の知識や関心を仕事にできるのは幸せ。
- 4.自分の好きなことばかりできるわけじゃないよ。
- 5.業界はやっぱり古い。だからこそ新しいことをする必要アリ。
1.出版不況はやっぱり厳しい。
出版不況止まらず...... 2017年は販売額7%減 過去最大の落ち込み
出版業界を志望する学生なら、業界の動向がいかに厳しいかすでに知っているはず。
それでもエントリーしたいっていうもの好きな人は、入社して両親や友人になんで低迷している業界に入ったのか、ちゃんとやっていけるのかをきちんと説明できるようになっといた方がいい。
そしてこれは面接でも必ず聞かれるポイントだと思う。
2.全体的に業界の給与水準は低め。(一部大手を除いて)
これは覚悟しといた方がいい。
就職活動をするときにはあまり給与は気にならず、自分のしたいことを仕事にしたいということばかりを考えているひとが多いと思う。(そういう僕もその一人だった)
ただ、年齢が上がってくると給料の問題は結構シビアになってくる。
大学の仲間とは給料の話にどうしてもなるし、大手金融とか不動産に行った友達の給与を聞いてむなしさを感じるときもある。
高学歴な学生だったら、なんで自分はこんな給料でやっているんだろうと思うかもしれない。
もちろん、一部の大手版元や専門書系の出版社はかなり高い給与水準になっている。
ただしこのあたりに就職するのは本当に狭き門なので注意してほしい。
この業界で自分が何がしたいのか、そこがはっきりしていないと就職してから微妙な気持ちになってしまう。
3.自分の知識や関心を仕事にできるのは幸せ。
そもそも本ってなくても生きていけるし、文化を仕事にできるっていうのが自分の中では大きい。ヘミングウェイを読んだり、フーコーを学んだり、タルコフスキーを見たり、例えばそんなことがリスペクトされる職場ってなかなか他にないだろうなと思ってる。
出版業界は扱うテーマが広いからコミックに異常に詳しいおじさんとか、ファッション誌から抜け出てきたようなOLとか、絵本マイスターなおばさんとか、結構人種の坩堝的な環境も面白い。
そういう人たちと仕事をするのは本当に刺激になる。
4.自分の好きなことばかりできるわけじゃないよ。
これはどの会社にいってもそうだと思うけど、自分が絵本が好きだからといって、絵本ばかりを担当することはできない。当たり前だけど、事務的な資料作成や営業提案、コピー、雑用。書店だったらレジ、接客等の通常業務がメインになる。
それでもチャンスがあって自分の関心のあるジャンルの仕事ができるようになるまでに数年はかかると思った方がいい。
一口に出版といっても、編集だけじゃなくて、営業、制作、物流、広報、web、もちろん会社では当たり前にある総務、経理、人事といろいろあるからね。
もちろん職種別の採用があったり、配属希望は出せるけど、どこに配属されるかは会社の決定だから、そこは念のため。
5.業界はやっぱり古い。だからこそ新しいことをする必要アリ。
出版業界は基本的に古い。世の中には新しいサービスはいくらでも出ているのに、
昭和の時代からビジネスの仕方が変わってないんじゃないかって思うことが多い。
会社員になるまではFAXを使ったことがなかったのに、出版業界では今でもFAXを現役でガンガンつかってたり、商慣習がなかなか変わらない。
出版社は大手以外は中小規模の出版社が全国に無数にあって、書店も小さな書店が大量にある中でなかなか大規模な仕組みの変革が難しいという状況がある。
(やっぱりそんな日本の出版業界におけるアマゾンはやっぱり凄かったりする)
出版物も雑誌は売れなくなっているし、書籍もそれなりにうれない。
どこの業界でもそうだと思うけど、今までと同じことを繰り返してたらやっぱりキツイ。
AI、VR、ARとか新技術やwebサービスが本当にすごいスピードで成長し、状況が変わっていることをチャンスにできるマインドが絶対に必要だと思う。
就活生はこのマインドを自分の言葉でアピールしてね。