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アラサー文系会社員の逆襲

【大人の読書】 学生時代に憧れていた「監獄の誕生」に大人になってから挑戦するということ。

大学時代に憧れていた先輩の話

大学時代に同じ学術系サークルに所属していたすこし変わった先輩がいた。

その人は「ノルウェイの森」の永沢さんみたいに、

超人的なバイタリティと強靭な知性をもっていた。

そして人より多くの時間を勉強に当てていた。

 

その人は文化祭で鉄板焼きの屋台を出す時、

下級生が用意してきた具材を全部みじん切りにして、

適当に生地に混ぜて焼いたクレープ状の物体を

ポストモダン焼き」として出していた。

 

それは全く面白くなかったけど、

いつもその人は自分の想像もできないこと軽々とアクセスして、

縦横無尽に行動している人だった。

1年生のぼくはそのとき大学にはこんな凄い人がいるんだと感動していた。

 

ある時、部室でその先輩の高校時代の話になった。

 

「おれの高校生の世界史の先生が職員室でモーゲンソーを読んでいた。

 そんなヤツふつーいる?

 おれはそんな大人になりたい。」

 

って言っていた。

 

 

当時は「もーげんそー」が人なのか、本のタイトルなのかもわからなかったが、

憧れの先輩のモデルにしている人=自分もモデルにしたい、

みたいなこれ以上ないくらい単純な図式で大人になっても勉強したいと思ってた。

 

その先輩と出会うことになったそのサークルは割と変な人が集まっていて、

楽しいキャンパスライフ、例えば飲み会、合コン、旅行、バイトみたいな

メジャーな活動に自ら背を向けている人ばかり集まっている奇妙な集団だった。

 

ぼくも含めて、そのサークルは単純に社会不適合者予備軍の集まりだったから、

大学生活のメインストリームに乗れない可哀想な人っていう側面も若干ある。

 

ただ、そういう人たちが一生懸命自分の興味にそって

歴史、思想、芸術の勉強をしている空間は奇妙で屈折した魅力があふれていた。

 

「大人になる」ということ

大学を卒業して8年が経って、

彼らと再会したとき、大抵それは複雑な再会となってしまう。

 

あれだけ社会とミスフィットしていた人がそれぞれなんらかの形で適応をしていて、

昔あれほど自分たちと敵対していた社会と折り合いをつけている。

 

「みんな大人になってる」

 

もちろん、ぼくもそのうちの一人だ。

みんな大人になってる。それは本当に凄いことだし、シンプルに嬉しく思う。

 

ただ、同時に複雑な気持ちもいだいてしまう。

なんか皆の魅力がなくなっている気がするからだ。

 

お酒もすすんで、皆それぞれ自分の仕事の話題になったりする。

みんな当たり前に始業時間の1時間前に出社して、もちろん残業もする。

プロジェクトリーダーやってる人もいる。

「高かったよー」とか、少しはにかみながら家を買ったことを報告するヤツもいる。

 

大人になると学生の時みたいに自己満足の世界だけで遊んでいるわけにはいかない。

 

大人になってまでカウンターであることが魅力なのか、

それは全くわからないが、ただ単純に魅力がなくなっているように感じるのだ。

 

「大人はみんな社会とフィットしているのか」問題

やらなきゃいけない勉強が苦手、

 

当たり前にするべき行動が苦手、

 

守らなきゃいけないルールが苦手、

 

これはぼくのことだけど、30過ぎのいい大人が社会で苦労するのも当然だと思う。

 

多分、適応してるように見えた昔の仲間も、

ベースのところではミスフィットしてるのかもしれない。

大人だからそれをわからないように振る舞う技術を身につけたのかもしれない。

 

大人になっても別に社会にフィットできているわけではない。

 

これはぼくにとって明らかな事実だから、

誤魔化したりするのをすこし休んでみようと思う。

 

100%自己満足な読書の世界

大人だから人に要求されたり、

なにかしらの期待を向けられることが多いから

完全な自己満足の世界を確保してみる。

 

なんでとりあえず「監獄の誕生」を読んでみる。

学生の頃、憧れていた一冊で表面的に内容は知っているけど、

実際には読まなかった典型的な一冊。

 

 

「研究者でもないのに、専門書よんでどうするの?」

 

ほんと意味なんてないよね。意味なんてありません。

たぶん面白いわけでもないんだろうなー。

そもそも字は小さいし、2段組だし。

 

古典を読んだ達成感とかもうすでにないし、

ペダンティックな会話をしたいわけでもない。

「これくらいは読んでいないといけない」みたいな古典や名著に対する

幻想は昔よりだいぶ薄れている。

実際に役に立つリターンもないと思う。

 

ただ、誰からも要求されていない、自分の時間と知的リソースの使い方。

これにはやっぱり魅力がある。

 

そしてやっぱり本は自分が未だにアクセスしたことのない

領域への入り口なのは間違いないはず。

 

歯が立たないような本に挑戦して、

膨大な時間をムダにしてしまうかもしれない。

 

でも全然それでOK。

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